福井地方裁判所 昭和59年(行ウ)3号 判決
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【判旨】
一原告が昭和五六年八月一八日付で厚生大臣あての定款変更認可申請書を被告に提出し、昭和五八年一二月一八日に、同内容の申請書を再提出したことについては当事者間に争いがない。
二ところで、行政事件訴訟法によれば、不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他の裁決をなすべき義務があるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴えであるから(三条五項、三七条)、本件訴えが許容されるためには、まず、被告が原告の前記申請に対し、なんらかの処分をするべき義務を負つていることが必要である。
三そこで、本件において、被告にいかなる義務があるかにつき検討するに、社会福祉事業法四一条、二九条四項、同法施行規則二条、一条の二第三項及び五項ないし七項によると、社会福祉法人の定款変更は、厚生大臣の認可を受けなければ効力を生じないものとされ、その認可の申請は、都道府県知事を経由して行なわなければならないとされており、この場合、都道府県知事は、遅滞なく必要な調査をなし、意見を附して厚生大臣に進達するものとされている。しかも、右申請は、厚生大臣に対してなされるものであつて、その進達行為をするにすぎない都道府県知事において、右進達に際し、申請者に対して何らかの応答をするべき法律上の義務は同法及び同法施行規則上定められていないことが明らかである。
右によれば、社会福祉法人の定款変更について、その認可の権限を有するのは厚生大臣であり、被告を含む都道府県知事は、単に右申請に伴う内部的処理として定款変更認可申請の書類を厚生大臣に進達するという事務をとるにすぎないものであることが明らかである。
四ところで、行政事件訴訟法において、不作為が違法確認の対象となる処分とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行なう行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解するのが相当である。
そして、本件において被告がなすべき進達は、行政機関相互間の行為にすぎないものであり、ここにいう処分に該当しないことが明白である。
したがつて、原告の定款変更の申請に対する被告の進達行為は、不作為の違法確認の対象にはなりえないものといわざるをえない。
そうすると、被告に対し不作為の違法確認を求める本訴請求は、明らかに不適法である。
(高橋爽一郎 園部秀穗 石井忠雄)